土地について
ここでは土地を探す時の注意点についてご案内いたします。

§1.家が建たない土地がある
    土地には建築基準法をはじめ都市計画法などの法律によってさまざまな規制が掛かっています。
    家のことを少し調べた方ならご存知かと思いますが、比較的よく知られている「建ぺい率」や「容積率」
    などの規制も、法律による規制のひとつです。これらは家の大きさを規制しているだけですが、法律
    の中には家の建築そのものを規制している条文もあります。

   ◆土地が「都市計画区域内」(計画的に都市機能を形成させる区域)の中にある場合は、原則として
    法律上「道路」として認められる道に2m以上接道していなければ家を建てる事が出来ません。
    つまり法律で認められる道路とつながっていない土地では家を建てられません。

   ◆土地が市街化調整区域(大きな街になることを事を規制する地域)にある場合は、原則として家を
    建てることが出来ません。
    ただし、農業に従事している事が公的に証明できる場合や、その他の特例措置で建築が可能になる
    場合もあります。この地域で家が建てられるかどうかはとてもデリケートな問題ですので、管轄の
    役所で直に問い合わせるか、もしくは信頼できる住宅業者さんに依頼して調査してもらってください。
    土地を購入したものの家が建てられないといったケースに陥らないように、事前に建築許可が降りる
    条件をきちんと収集してから購入を検討して下さい。

   ◆地方自治体が「災害危険区域」に指定した区域では、崖崩れや津波などの危険があるため、家を
    建てることが規制されます。

    これらのような建築が制限される土地には、その土地の資料に「建築不可」などの注意書きが添えら
    れるのが普通ですが、家が建たない土地があることを予備知識として知っておいてください。
    数は少ないのですが実際に「売り土地」として流通しています。

§2.お金が掛かる土地がある
    土地そのものは比較的安く購入できても、建築の段階で費用がとても高くつく土地があります。
    よくあるケースは道路と土地に大きな高低差があり、家を建てる為にはその道路沿いに土止めの壁
    (よう壁)を石積みやコンクリートで造る必要に迫られる場合などです。
    また、道路と接する部分に高低差が無くても、土地自体が傾斜している場合なども土止めのよう壁が
    必要になったり土地に土を搬入する(または搬出する)必要に迫られる事態に陥ることがあります。
    その費用はケースバイケースで大きな開きがあり、場合によっては1千万円を超えることもあります。

     ただ、このような土地は高台にあって眺望がとてもいい場所にあることも多く、一概に悪い土地とも
    言えません。ですからこのような土地を検討されている場合は、あらかじめ土地を住宅業者さんに
    見てもらって、必要になる費用が大雑把にいくらくらいになるのかを聞き、土地建物の総額が予算に
    納まるかどうかを事前に確かめることをお勧めします。
    土にかかわる工事は意外と高くつきますので、専門家に費用やそのやり方などのアドバイスをもらっ
    てから購入を検討してください。

§3.土地の一部が自由に建築利用できない土地がある
    法律的に、家を建てるためには原則としてその土地に道幅4m以上の道路が接していなければ建てら
    れないのですが、接している道路がそれより細い道であっても建築ができる特別な道路があります。

    その道路は俗に「2項道路」とか「みなし道路」と呼ばれていて、特定行政庁が指定しています。
    これは法施行以前から道幅4m未満の道沿いにあった敷地が建築不可にならないようにするために
    規定されたもので、実際には幅が4m未満しかない道路であっても法律上はそこに道幅4m(指定が
    ある場合は6m)の道路があるものとみなして建築が出来るようにしています。

    この道沿いの土地を購入した場合、家を建てる事そのものは規制されませんが、実際より幅広に
    みなされた道路の境界線が敷地の中にあることになり、建築する時はそのみなし境界線を超えて
    家を建てることはできません。また、門や塀を造る場合でもこのみなし境界線に沿って造らなけれ
    ばならないため、土地の一部が自由に建築利用できないことになります。

    ゆとりのある土地でしたら大きな問題にはなりませんが、必要最小限の大きさで土地を検討される
    場合には注意が必要です。

§4.地方自治体が条例で色や形、高さなどを規制している土地がある
    山や竹林、丘陵や水辺などの優れた自然美と融合した美しい街の景観を保全するために定められた
    地区を「風致地区」といいます。この地区の中にある土地は、その良好な環境を維持するために地方
    自治体から法律よりも厳しい内容で建築規制を課せられています。

    規制の内容は地方自治体がその景観に合わせて条例を制定しているため、地域によってそれぞれに
    違いがあります。一般的な傾向としては、家のイメージとして「広い庭があり隣家との間隔を広くとった
    落ち着いた色合いの平屋または二階建ての住宅」を建ててもらおうとしているようです。

    具体的な規制としては次のようなものが挙げられます。
    (地区によって該当しないものや、その他の規制が掛かる場合があります)
   ◆建ぺい率(土地の面積と建物を真上から見た時の面積の割り合い)が小さい
      ⇒割り合いとして庭が広くて建物が小さくなる。
   ◆容積率(土地の面積と建物の各階の床面積の合計の割り合い)が小さい
      ⇒割合として土地が大きくて建物が小ぶりになる。
   ◆最高高さ制限(地面から屋根のてっぺんまでの高さ)が低い
      ⇒だいたい二階建ての高さで三階建ては物理的に無理がある。
   ◆斜線制限(北側の敷地境界線から一定の高さまで垂直に上がり、真南に向かってある傾斜で斜めに
           せり上がる架空の線をはみ出て建物を建ててはいけないという制限)が厳しい
      ⇒垂直に上がる高さを低くし、斜めにせり上がる傾斜を緩くすることで北側に余裕をもたせないと
        物理的に家が建てられないようにする。結果的に北隣の家は南側からの日当たりを確保するこ
        とになる。それと同時に自分の家も南側の日当たりを保障される事になる。
   ◆壁面後退線(隣地境界や道路境界から建物の外壁までの距離)が広い
      ⇒家と家の間に広がりができるため通風や日当たりがよくなる
   ◆外壁や屋根の色、サッシ枠の色などに一定の基準を設ける
      ⇒ピンクやイエロー、純白などの原色系の色使いを規制し、けばけばしくない艶消しのイメージで
        色使いを指導されます。これは自然美との融合と統一的な家並みを保全する事で景観を維持
        することを目的とした規制です。
   ◆地区によっては家の外観デザインも統一的に規制される
      ⇒窓の形や下屋の掛け方、バルコニーの付け方や形などを規制することで街並みに統一感を
        持たせて景観を維持することを目的にした規制です
   ◆地区によっては敷地内を一定の割合で緑化することを指導される
      ⇒敷地内の庭や道路側に植物を植えて緑化することで、自然美と融合した街並みの景観を
        保全するための規制です。
       
    この地区は街並みにゆとりがあり住環境が非常に良いことが特徴ですが、土地自体にある程度の
    大きさがないと家族がきちんと生活できる家の大きさを確保できなくなる危険があります。例えば
    建ぺい率が20%・容積率が40%で規制されている地区では、土地が50坪(約165u)あっても建てら
    れる家の大きさは1階で10坪(畳に換算して20帖分)、2階でも10坪程度にしかなりません。これは
    間取りに換算すると比較的小さめの2LDKくらいにしかなりません。

    また、色使いや外観デザインを規制している地区では想い通りの家が建てられないといったことも
    弊害として挙げられます。

    この地区内の土地を検討されている場合は、あらかじめ規制内容が自分たちの要望を満足させる
    ことにメリットがあるのかデメリットの方が大きいのかをよく考えた上で、どんなプランが組めるかを
    事前に確認してから購入を検討する事をお勧めします。

§5.法律の他に民間レベルで建築規制の取り決めをしている土地がある
    法律とは別に民間レベルで家の建て方を規制している地区があります。その地区では法律によって
    定められた手続きをへた上で決められた「建築協定」の内容に沿って家を建てなければなりません。

    もともとはそこに住む住民および利害関係者全員の合意の上で、良好な街の住環境を維持すること
    を目的に建物の建て方を定めるものです。ただし事例としては、大きな宅地開発でできた分譲地全体
    に宅地開発をした業者さんがこれから作られていく住環境の向上を目的に「建築協定」を定める場合
    の方が多いようです。(この分譲地を購入する際に協定の内容に合意することが条件になる)

    規制の内容はその建築協定の内容によってさまざまですので、該当する協定の内容をよく確認してく
    ださい。規制の仕方は「風致地区」とよく似ていますが、中には洋風建築にすることや和風建築にする
    ことを協定で定めているところもあり、風致地区の場合と同様にご自身の要望する家が実現できるか
    どうかを事前に確かめておくことをお勧めします。

    また、協定の内容は法律と同じく遵守する必要があり、着工前に役所に申請する「建築確認申請」の
    手続きの中でも該当する建築協定の内容に合致しているかどうかがチェックされます。

§6.古屋を取り壊して建て替えると家が小さくなる土地がある
    非常に残念な事ですが、法律を無視した違法建築物が現実に存在しています。その代表的なものは
    敷地いっぱいに建てられた間口が狭い三階建てで一階部分が車庫になっているタイプの住宅です。
    家が密集した都市部に建てられることが多いようです。
    (もちろん同じタイプでも合法的に建てられた安心できる物件もあります)

    違法建築で建てられた住宅付きの土地を購入した場合、その住宅は建ぺい率や容積率、斜線制限
    などを無視して建てられているため、その違法建築物を取り壊して新しく合法の家を建築する場合、
    それより小さな家しか建てられなくなります。
    つまり新築するときには、部屋数や間取りが以前より狭くなり住環境が悪くなることになります。

    また、違法建築で建てられた住宅はその耐久性や強さに関する法律も無視していることが多く、
    大きな地震などのときに倒壊する恐れがあり、ご家族の命を危険にさらすことにもなります。

    土地自体が狭い違法建築物付きの物件は、購入価格が安く設定されているため一見すると買い得の
    ような錯覚に陥りやすいのですが、長い目で見て購入そのものを控えた方が賢明です。


    少し話が変わりますが、建築に掛かる規制は根本的にその建築を利用する人の生命と健康と財産を
    守るために規定されているものです。誰しも制約を課せられることを好むものではありませんが、
    長い目で冷静に考えると、建築にかかわる規制の数々がその場所の住環境を守っていたり、通風や
    日当たりをお互いに譲り合って確保していたり、家の耐久性や強さを決めることでそこに住む家族の
    生命や資産価値を守っていることに気付くと思います。
    この意味で、積極的に違法建築を勧めるような住宅業者さんには大切な家の建築を任せるべきでは
    ありません。制約を無視して小さな土地に大きな家を建ててくれる業者さんは、もしかしたら自分達の
    味方のように錯覚してしまうかもしれませんが、見方を変えれば、そんなことまでして売り急がないと
    会社の経営が成り立たない危ない業者さんかもしれません。
    なによりもご自身とご家族の生命と健康と財産を永続的に守るために法律は遵守してください。



※ここに紹介したケースは出回っている土地情報の総数から見れば数は限られていますが、現実に流通
  しているものばかりです。また、土地はその環境や場所によりさまざまな法律上の規制や法律以外での
  制約を受けているために一般的な話では紹介しきれない個別性の高いものです。土地を購入する場合は
  事前に住宅業者さんとどんな家が建つのかを検討してから決定されることをお勧めいたします。
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