工法について
日本では家の建て方を数多くの工法の中から選ぶ事ができます。
ここでは代表的な工法の特徴をご紹介します。


=== 木質系 ===

◆在来工法(木造軸組工法)
   柱と梁とすじかいで家を建てる伝統的な工法。
    ○メリット
      プランの自由度が高く想いどおりの間取りを組みやすい。
    ×デメリット
      気密性が低いため高気密高断熱住宅を作りにくい。

◆枠組壁工法(2X4工法、2X6工法)
   38mmX89mmまたは38mmX140mmの枠材と構造用合板を組み合わせて家を建てる工法。
    ○メリット
      気密性が高く高気密高断熱住宅を作りやすい。耐火性にも優れている。
    ×デメリット
      構造的な制約を受けやすいため間取りの自由度がやや低い。

◆木質ラーメン工法
   大断面集成材と金物の組み合わせで家を建てる工法。
    ○メリット
      構造壁やすじかいが不要なため間取りの自由度がとても高い。
    ×デメリット
      柱や梁が太いため部屋の内側を圧迫されやすい。

◆木質パネル工法
   工場で壁や床をある程度まで作って現場で組み立てる工法。工期も短縮される。
    ○メリット
      工場生産のため精度が高く品質むらが少ない。
    ×デメリット
      生産規格が決められていて間取りの自由度がやや低い。

◆木質ユニット工法
   工場でユニットを最終の仕上げ直前まで作って現場で組み上げる工法。工期も短縮される。
    ○メリット
      家の8割近くを工場生産するため精度が高く品質むらがとても少ない。
    ×デメリット
      生産・組み上げのための制約があり間取りの自由度が低い。

◆丸太組工法(ログハウス)
   丸太を角型または丸型に製材したログを積み上げて家を建てる工法。
    ○メリット
      木の質感にあふれた独特の雰囲気とインテリアを実現できる。
    ×デメリット
      構造上の制約が多いため間取りの自由度がとても低い。



=== 鉄骨系 ===

◆軽量鉄骨造
   肉厚が薄い鉄板を曲げて断面をC型などに加工して作った梁材と柱材とブレース(すじかい)を組み
   合わせて家の骨組みを造り、ALC板(発泡コンクリートの板)などを外壁材として張り付けて家を
   建てる工法。構造原理は在来工法と同じ。
    ○メリット
      柱材や梁材が重量鉄骨造と比較して細いため、部屋内部を圧迫する事がなくスッキリした
      内観を作り出すことができる。
    ×デメリット
      肉厚が薄いため、もし鉄材に錆が発生した場合はその影響が懸念される。

◆軽量鉄骨パネル工法
   軽量鉄骨造で壁をパネルとして作り、現場で組み立てる工法。
    ○メリット
      工場生産のため精度が高く品質むらが少ない。工期も短縮される。
    ×デメリット
      生産規格が決められていて間取りの自由度がやや低い。

◆軽量鉄骨ユニット工法
   工場でユニットを最終の仕上げ直前まで作って現場で組み上げる工法。
    ○メリット
      家の8割近くを工場生産するため精度が高く品質むらがとても少ない。工期も短縮される。
    ×デメリット
      生産・組み上げのための制約があり間取りの自由度が低い。

◆重量鉄骨造(ラーメン構造)
   肉厚が厚い鉄板をH型や□型に加工して作った梁材と柱材を組み合わせ家の骨組みを造り、
   ALC板(発泡コンクリートの板)などを外壁材として張り付けて家を建てる工法。
    ○メリット
      大空間を作りやすく間取りの自由度がとても高いため、店舗などを併用した住宅や1階部分を
      ピロティにし住宅、1階全部を駐車場に利用する住宅などの特別な住宅を造りやすい。
    ×デメリット
      柱材や梁材が太いため部屋の内側を圧迫されやすい。



=== コンクリート系 ===

◆鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
   鉄筋とコンクリートを一体化させた柱と梁と外壁で家を建てる工法。
    ○メリット
      間取りの自由度がとても高く、外観に曲面を使う事も自由にできるためプランのデザイン性が
      とても高い。また耐久性や耐火性、気密性、遮音性などにも優れている。
    ×デメリット
      鉄筋コンクリート自体が重いため基礎部分が大掛かりなものになりやすく、結果的にコスト高に
      なりやすい。また柱材や梁材が太いため部屋の内側を圧迫されやすい。

◆壁式鉄筋コンクリート造
   鉄筋とコンクリートを一体化させた厚壁(耐力壁)をバランスよく配置しながら家を建てる工法。
    ○メリット
      柱が不要なため部屋内部を圧迫する事がなくスッキリした内観を作り出すことができる。
      また耐久性や耐火性、気密性、遮音性などにも優れている。
    ×デメリット
      鉄筋コンクリート自体が重いため基礎部分が大掛かりなものになりやすく、結果的にコスト高に
      なりやすい。また構造的な制約を受けやすいため間取りの自由度がやや低い。

◆コンクリート系パネル工法
   壁式鉄筋コンクリートの壁や床を工場で作り、現場で組み立てて家をつくる工法。
    ○メリット
      工場生産のため精度が高く品質むらが少ない。工期も短縮される。
    ×デメリット
      生産規格が決められていて間取りの自由度がやや低い。



工法メモ(工法の体系)

  1.構造材の材質
   a.木質系
      木を柱や枠、梁、すじかい、構造用合板などに用いることで家を建てる工法。
      木が持つ調湿性や断熱性、比重あたりの高耐力性などの恩恵を受ける事ができる。
   b.鉄骨系
      構造上合理的な断面に加工された鉄材を用いることで家を建てる工法。
      鉄が持つ地震時の粘り強さや断面寸法あたりの高耐力などの恩恵を受ける事ができる。
   c.コンクリート系
      引張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートを一体化させることで家を建てる工法。
      鉄筋コンクリートが持つ耐久性、耐火性、気密性、遮音性などの恩恵を受ける事ができる

  2.家の形を安定させる方法
   a.ピン構造
      柱と梁とすじかい(またはプレース)でできる三角形を基本形として家を安定させる工法。
      木造軸組工法での柱と梁をつなぐ「ほぞ」や軽量鉄骨造での柱と梁をつなぐ「ボルト止め」
      などは、構造上はドアの蝶番のように自由にその角度を変える部分として扱われるため、
      三本の材料(柱・梁・すじかい)で三角形を作る必要がある。家の間取りの中にバランス
      よくこの三角形を配置しなければ丈夫な家にならないため、間取りの自由度は「ラーメン 
      構造」、「壁式構造」と比較して中程度。(ただし、普通の家であれば必要充分な自由度)
      利点としては、柱と梁を細くできるので壁や床の中に構造体を隠してしまうことが可能で
      部屋の中をスッキリとした四角形にすることができる。
   b.ラーメン構造
      柱と梁を頑丈に緊結し、向かい合う柱2本とその上下につながる梁2本で変形しない四角
      形を作りだし、これを基本形として家を安定させる工法。
      柱と梁だけで家を安定させる事ができるため、構造上は壁が不要となり、住み心地だけを
      考えて自由に壁を作ればいいので間取りの自由度は大。ただし、柱と梁が太くなるため
      部屋の内部を圧迫されやすいのが難点。
   c.壁式構造
      壁と床をそれぞれ「面」としてとらえ、4枚の壁と上下2枚の床が組み合わさる事で「箱」を
      作りだし、これを基本形として家を安定させる工法。
      例えば「紙」はとても変形しやすい柔らかい材料だが、紙を組み合わせて箱を作ると変形
      しにくい安定した物体になる。この原理を応用した家の建て方が壁式工法。
      ただし、壁に極端に大きな出入り口や窓を設けたり、極端に大きな吹抜を作って床に大き
      な開口を作ったり、向かい合う壁と壁の距離を極端に広げたりすると「面」が弱くなるため
      「箱」の安定性が損なわれ家の丈夫さが弱くなる。そうならないためにに構造上の規定で
      開口の大きさや壁と壁の距離などが制限されているので間取りの自由度は小。
      利点としては、バランスよく「箱」を作るので大きな地震の揺れによる外力を家全体に分散
      させる優れた耐震性を発揮すると言われている。
  3.家の組み立て方
   a.現場組み立て
      現場で材料を組み立てて家を建てる方法。搬入路や敷地の立地条件などの影響を受け
      にくくプランの自由度が高い。ただし、工期が長くなりがちで現場管理をきちんと行わない
      と品質にむらが出る可能性がある。
   b.パネル工法
      壁や床をある程度工場で作ってきて現場で組み上げる工法(どの程度作るかは住宅業者
      により異なる)。運搬やクレーンを使った組み立てに際して、搬入路や立地条件の影響を
      受ける可能性がある。またパネル生産にあたっても基本寸法が決められていることが多く
      結果的にプランの自由度は低くなる。
      利点としては、家の主な部分が工場生産によるものなので精度が高く品質むらの少ない
      仕上がりが期待でき、工期も短縮される。
   c.ユニット工法
      家を箱状のユニット単位で工場生産して現場で組み上げる工法。ユニット自体が大きい
      ため運搬やクレーンを使った組み立てに際して、搬入路や立地条件の影響を受けやすく
      なる。またユニット生産にあたっても基本寸法が決められていることが多く、プランの自由
      度は一番低くなる。
      利点としては家の8割近くまでを工場で生産するため精度が高く品質むらが極端に低く
      なる。工期も一番短くなるため家が出来上がるまでの仮住まい期間を最小限にすることが
      できるので無駄な出費を抑えることができる。
      

この1〜3と、それぞれのabcの組み合わせで考えると工法の特徴が把握しやすくなります。
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